ちゃんともらえた


本当にこの日のために今までやってきたと言っても過言ではない.とりあえずこれで目標の第一段階は達成された.思い返せば今まで幾度と無く命を意識した期間があった.もやしを何キログラム消費したか分からない.糞まずいオカラのお好み焼きを一週間持たせたこともあった.研究室に共有品として設置されているお茶菓子,粉コーンスープやココアなどを夜中に大量消費した時期もあった.

口座を見ると,途方も無い金額が振り込まれていた.直後,途方も無い金額を各方面に支払った.手元には普通の金額しか残っていないが,もうこれで知らない番号からの電話玄関の扉をたたく音にビクッビクッしなくてよくなると思うと誠に爽快である.学会が近づくたびにため息をつくこともなくなりそうだ.かといって,初任給よろしく親にこれを奉仕する余裕も無いので,それは先延ばしにする.

しかし,ある日の街,かつて岡山の野良犬との異名を持っていた偉大なるonobouzu先輩が,すれ違いざま悲しげにこう言うんだ
「わかってるから,この首輪の事は聞くな.オマエもその内この手の絶望を知るさ.」







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