すばらしい


映画をみた.これは70000ヒットのHassen氏から提示されたテーマともからむのでこれ幸いとばかりに書く.

着信アリFINAL
http://www.chakuari.jp/web/


デスノートサイレントヒル,その他多くの話題作が並ぶなか,あえてこれを選んだ.なんせしばらく携帯の着メロをこれにしていたくらいに大好きだから.



以下多くのネタバレ含む



ほんとにすごかった.まず,舞台がなぜか韓国に(前作「2」は台湾).そしていきなり韓流ドラマに出てきそうな微笑を持つ男が出場.どうも準主役っぽい.かたや,日本人の高校生達はフルドキュン,しかも非常に高いレベルだッッ!ここでは2において完全に雲散霧消してしまった設定である「自分の死の瞬間の声が聞こえる」というものが復活された.(http://d.hatena.ne.jp/momentum/20050423/1114238645)というか,携帯のスペックが上昇し,自分が死ぬ瞬間の映像まで見え始めた.いや,もう少し詳しく言おう.一人目の被害者は声だけだった.しかし二人目で死の直前行動が携帯の動画で流れ出した.そして三人目で「メールを転送すれば死なない」という設定がなぜか発動.劇中でどんどんITが進化してゆく.最後にはテレビ電話状態になった.こうまで一貫性を無くすかねと,ほんとに驚いた.駄作中の駄作.ここまで高いレベルの駄作が上映されるのは初めて目撃した.しかし,それがいい.

いくつも言うべき点がある.とにかく,韓国である意味ねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!韓国らしい何かが物語にからんでくることは皆無であった.いや,まあ,それはいいや.何らかの意図が働いたのだろう.

人々を殺しまくったのは,いじめられっこの少女であった(堀北真希).そして,修学旅行中の団体の中で問題解決のために動き回るのは元いじめられっこ少女(黒木メイサ)で,現いじめられっこの友達であった.いやさ,なんつうかさ,少なくとも男子はさ,ホマキとメイサは一番最初にいじめリストから外すよね....無理がある.だってその他は外見も性格もひどい醜女(しこめ)しかいなかったぜ?あの二人がいじめられるわけがない(少なくとも男子からは).

先生役に板尾を選んだのはもう本当に俺らを笑わせようとしてるとしか思えない.実際,彼が出てくるたびに爆笑であった.そして他の人々の演技・・・ひどいものだった.というか,演技,シナリオ,何もかもが我々の大学時代の拙作「こいつをロッカーにつめてやりたいんですが,かまいませんね?」に激似であった.特に肉尊女史に激似の演者がいた.似た表現も多いし,似た構図も多かった.もうなんか見ていて恥ずかしくなった.

一方,収穫もあった.細かいところを挙げればきりがないのだが,私が感銘を受けたのは,人数の減らし方であった.当初,学生は数十人おり,こいつら全員死ぬんかいな?てことはバトルロワイアルかあるいはグリード的な殺し方をするんかいなと思っていたが,彼ら着信アリ製作委員会は俺の予想を超えた.なんと,「**を見ていた3人はきちがいになったので病院に行ったよ」という一言でだけ効率的に鮮やかに3人も減らしてきたのである!!!!!!!!これは思いつかなかった.こんな手があったとは...パターンとしてはくねくね法に位置づけられると思われる.考えてみれば,二人いた先生も,片方は板尾先生の死によってき***になったし,なんと主人公までが最後は*ち**になって終わった.

あと,不可解なことに,「呪の主は,いじめられっこのマシンの中にいる!」という珍説が急に飛び出してきてしかもそれが当然のように話が進められたのだが,日本と韓国のインターネット利用者にスパムメールおよび宣伝コピペを回して,ホマキんちのサーバー(なぜか自前のサーバ)に大量アクセスをすることでダウンさせようという作戦に出た.結果的に,ホマキのPCに大量のメールがアジア各地から届き(なぜか届いたメールの件名は日本語ばっかり),なんとPCが火を噴出し,最後にはモニタが大爆発して吹っ飛んだ.いやあ,田代砲に代表されるサイバー攻撃って,こんなに怖いものなんですね...


そうそう,韓国であることの意味が分からないといったが,そういえばあった.ラスト,準主役の韓国人男性が明らかに韓流ドラマのような死に方をした.ひどいもんだった...もともと都市伝説に「リング」と「呪怨」をパクリ合成して成立した映画であったが,それに韓流を加味してきた.もうムチクチャである.だが,それこそがこの映画をB級たらしめる要素である.これがいいのである.こんな普通は思いつかないような稚拙かつちょっと時期はずれな技法を積極的に取り入れてくるからこそ,この製作委員会は笑える.ほんと見てよかった.





着信アリ Final (角川ホラー文庫)

着信アリ Final (角川ホラー文庫)