音で世界を"視る"少年 米
ベンは2歳の時、網膜ガンに侵され、両目を摘出して視力を失った(現在、彼は両目に義眼を入れている)。しかしその後、ベンは失われた視力を補うべく、ある特異な能力を身に付けたのである。それは継続的に舌打ちをし、口から発する音のエコー(反響音)によって、まるで世界を視るように物体の外形や距離を掴むというものだった。まるで指ならしのように大きな音を立てるその舌打ちを通じて、ベンは周囲の物体の特質さえ掴む事が出来るという。例えばエコーが柔らかい場合は金属質の物体、深みがある場合は木質の物体、鋭い場合はガラス質の物体というようにである。そして更にその音の大小により、物体までの距離をほぼ正確に把握するのだ。
ベンに初めて点字を教えた教師、バーバラ・ハッセ氏は、ベンが視力を持っていた二歳頃までの視覚情報が、その後"物理的世界の地図"を形成するのに役立ったと分析している。
反響定位か...非常に面白い.
- 作者: 本田仁視
- 出版社/メーカー: 風間書房
- 発売日: 1994/02/28
- メディア: 単行本
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