自己治療する毛虫


超きもい

毒草を食べて寄生虫を自己駆除する毛虫
Ker Than
for National Geographic News
March 16, 2009

 新しい研究によると、一部の幼虫たちは邪魔な寄生虫を追い払うため、薬物が入った葉をむしゃむしゃ食べている。

 今回の研究には、クマケムシと呼ばれる毛に覆われたガの幼虫が使われた。研究を率いたアリゾナ大学のエリザベス・ベルナイス氏によると、昆虫が自己治療を行うことが明確に示されたのはこれが初めてだという。

 春になると、寄生性のハエがクマケムシの体内に卵を産む。卵がかえると、ハエの幼虫は宿主の体を食べ進み、最終的には腹を破って外に出る。しかし、寄生された幼虫がセネキオをはじめとする植物の葉を食べると、腹の中がアルカロイドという薬物でいっぱいになる。人間にとって身近なアルカロイドは、カフェインやモルヒネ、コカインなどだ。

 アルカロイド寄生虫を直接攻撃するのか、それともクマケムシの免疫機能をなんらかの形で高めているかはわかっていない。しかし、アルカロイドを含む葉が幼虫たちを治療するのは確かだ。

 ベルナイス氏らは寄生虫の有無でクマケムシを分け、寄生されている方が有毒のアルカロイドを含む葉を多く食べていることを明らかにした。健康なクマケムシもアルカロイドを摂取するが、こちらはごく少量にすぎない。寄生虫が嫌う味になることが目的のようだ。

 また、寄生虫がいないにもかかわらずアルカロイドを大量に摂取するクマケムシは、適量に押さえる個体より死ぬ確率が高いことも示された「一歩間違えば、命取りになる」とベルナイス氏は言う。

 これまで、自己治療を行うのは、学習能力がある比較的知能の高い生物に限られると考えられてきた。その一例が霊長類だ。例えば、チンパンジーは自分の病気を治すために摂取すべき薬を覚え、その知識を他者に伝えることができる。

 昆虫の場合はおそらく、はるかに単純な仕組みだ。ベルナイス氏によれば、クマケムシは寄生されると免疫系が反応する。具体的には、味覚の受容体が変化しアルカロイドを欲するようになるという。「昆虫のシステムは脳の認知能力ではなく、味覚の変化に基づいている」とベルナイス氏は説明した。

 研究の詳細はオンラインジャーナル「PLoS ONE」に掲載されている。

Photograph courtesy Troy Bartlett

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=95892292&expand


超すごい.クマケムシ(画像)とかその辺に大量にいるタイプ(注:群生しているという意味ではない)の腐れ毛虫にこんなスキルがあったなんて.確かに彼らは何でも食うとよく言われるが,その好みが変化することで結果的に治療を行っていたとは...なんというきもさ.きもいきもいきもい!!!とりあえず毛は無害だが,食ったら人間にも有害なので,特にウジムシに寄生されまくってる感じの超気持ち悪い状態のクマケムシは食べない方がいいよ.

例の如くお得意のPLoS ONEなので貼っとく.

Singer, M. S., Mace, K. C., & Bernays, E. A. (2009). Self-medication as adaptive plasticity: Increased ingestion of plant toxins by parasitized caterpillars. PLoS ONE, 4(3), e4796. doi:10.1371/journal.pone.0004796

http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0004796