戦略と戦術


一時は決裂寸前も、日韓合意は「痛み分け」*1



痛み分けどころではない.行動開始以前の段階では圧倒的優位に立っていたのだから,完全な交渉失敗ととらえられる.今回決定したことは次の3つ.

(1)日本は予定していた調査を(延期ではなく)中止する。
(2)韓国は国際水路機関(IHO)に竹島近隣水域の韓国式地名登録を、十分な準備をへて適切な時期にする
(3)日韓は、排他的経済水域EEZ)の境界線画定に向けた協議について、5月にも局長級で再開する

まず第一に重要なことは,(2)である.今回の日本側の行動の目標は,「韓国に6月の国際水路機関の会議にて竹島周辺地域の韓国名の提案をさせないこと」であった.しかし(2)を見れば分かるように,その確証は取れていない.つまり,日本側の行動目標は達成されなかった.あちらさんが6月までに「十分な準備を経れば」あっさりと提案するだろう.彼らには約束という概念がない(なかった)のでこれはありうる(約束という言葉も概念も統治時代に日本から輸入された:).まあその方が国際紛争に発展して国際司法裁判所(あちらさんが50年も拒否している.自分たちに理が無いことをわかっているのだろう)にも持って行きやすくなるだろうけども.

次の問題は,(1)である.国連海洋法条約に基づく「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」では,外国人がEEZ内で科学的調査をする際には我が国の同意が必要ということになっている.しかしながら,結局調査できなかったということは「韓国の同意がなかったから調査をすることができなかった」ことを示す一つの例を作ってしまったことになる.なぜ問題か?だって,韓国の同意がなければ調査できないということは,竹島が韓国のものだからだってことにされてしまうよ.これは竹島問題の議論にとって不利な事実となるだろう.

あんだけ完璧な下準備をして,圧倒的に有利な状態で交渉に入って,なんで成果がコレかね?やはり交渉の失敗とみなすほかない.戦略に成功して戦術はあまりにお粗末過ぎた.戦争はそもそも戦争終了後の交渉を優勢にするための布石に過ぎない.今回は戦闘行為もなく最初から有利な状態で交渉に入っており,例えれば,戦争で勝ったのになぜか相手に自分の領土を奪われたようなものだ.

まあでも今回のが無駄だったとも思わない.まず,韓国がどんだけムチャクチャをしているかが(日韓双方の)世論に明らかにされたし,日本が黙って領土を奪われるだけでないことも中朝韓にアピールできた.


最後に.韓国は竹島にただいるだけじゃないよ.あそこに近づいた日本人が5人も射殺されてるんだよ*2.これだけはみんな知る必要がある.






PowerPointでマスターする攻めるプレゼン 図解の極意

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*1:

 【ソウル=中島健太郎】竹島周辺海域での海洋調査を巡る日韓交渉は22日夜、両国の意見の食い違いが続く状態から一転、合意に達した。交渉は合意直前まで曲折をたどり、一時は決裂寸前の場面もあった。

 韓国は6月の国際会議に韓国名称を提案せず、日本は海洋調査を当面行わないことで、とりあえず「痛み分け」で矛を収めた形だ。

 難航した交渉の焦点は、日本側が要求していた「6月の国際会議で竹島周辺の海底地形の韓国名を提案しない」ことを合意に盛り込むかどうかだった。

 日本側の要求に対し、韓国側が「合意に含めることは、認められない」とかたくなに拒否する姿勢を崩さなかったためだ。

 22日昼過ぎ、こうした情勢を報告した谷内正太郎外務次官に対し、安倍官房長官は「これは絶対に譲れない一線だ。これが入らないなら、席を立って日本に帰ってきていい」と指示した。このため、谷内氏らは「日本は海洋調査の『延期』ではなく、『中止』と明言し、相当に譲っている」として、韓国側の譲歩を強く迫った。

 しかし、韓国側も簡単に受け入れる姿勢を見せなかった。韓国側は、国際会議への地形名称の提案時期について、「6月の国際会議で提案すると発表したことはない」(柳明桓(ユミョンファン)外交通商省第1次官)と柔軟姿勢を見せながらも、「名称提案は韓国の権利」と主張し、交渉の最終段階まで抵抗した。

 日本政府筋は「盧武鉉大統領が過激なまでに強硬姿勢だったため、韓国の外交通商省も振り上げた拳をおろせなくなって困っていた」と分析した。

 22日午後には、韓国側が「いったん会談を打ち切ろうとしたが、日本側の要求で再開」(韓国政府筋)するなど、激しい応酬も度々あった。韓国の一部メディアは「交渉は決裂した模様」と報じ、日本外務省が「韓国側の揺さぶりだ」と否定する一幕もあった。

 結局、同日夜、韓国側が事実上折れる形で合意に達した。外務省筋は「合意2時間前まで、決裂を前提に、22日中に谷内次官らは日本へ帰る予定だった」と語り、ギリギリの交渉だったことを明らかにした。

 ただ、韓国側は「6月の国際会議に韓国名の提案をしない」と明言しておらず、日韓双方のメンツが立つ“玉虫色”の決着の側面もある。日本側は「『適切な時期』が6月の国際会議でないことは明らかだ」と指摘している。
(読売新聞) - 4月23日1時45分更新

*2:あそこを生息地にしていたニホンアシカも絶滅したよ.韓国軍の環境破壊のせいで.